警備員教育の講義はeラーニングでできる
警備員教育は、かつては講義(座学)も対面で行うことが前提でした。しかし令和元年(2019年)8月30日施行の警備業法施行規則の改正で、教育の方法(規則38条)に**「電気通信回線を使用して行うもの」**が加わり、一定の要件を満たせば講義をeラーニング(オンライン)で実施できるようになりました。
新任教育20時間・現任教育の毎年度10時間はいずれも「講義」と「実技訓練」で構成されます。このうち講義の部分を、集合研修でなくeラーニングに置き換えられる、というのが改正の内容です。ただし「何でもオンラインでよい」わけではなく、満たすべき要件と、対象にできる範囲が決まっています。
満たすべき4つの要件
eラーニングが法定教育として認められるのは、次の4つをすべて満たす場合です(警備業法施行規則38条、警視庁の案内)。
| # | 要件 | 何を確認できる仕組みか |
|---|---|---|
| 1 | 本人確認 | 受講しているのが警備員本人であるかどうかを確認できる |
| 2 | 受講状況の確認 | 最初から最後まで実際に受講したか(早送り・離席でないか)を確認できる |
| 3 | 知識習得の確認 | 受講者が内容を習得したか(理解度テスト等)を確認できる |
| 4 | 質疑応答の機会 | 受講者が質問でき、回答が得られる機会が確保されている |
市販のeラーニング教材を使う場合も、自社で内製する場合も、この4点を満たせる運用になっているかが判断基準です。とくに2・3(受講状況・習得状況の確認)が抜けやすく、「動画を流しただけ」では要件を満たしません。
eラーニングが使えるのは「講義」まで — 実技は対面が必要
eラーニングに置き換えられるのは講義(学科)の部分です。護身術・所作・現場対応といった実技訓練(術科)は、その性質上オンラインでは代替できず、対面での実施が必要と整理されています。
- 講義(学科) … eラーニング可(4要件を満たす場合)
- 実技訓練(術科) … 対面で実施
- 実地教育(OJT) … これは「現場で実際の業務に就かせて行う指導」で、eラーニングとは別の制度です。業務別教育の一部を実地教育で代替できる仕組みは実地教育の代替計算で解説しています
つまり「新任20時間を全部オンラインで済ませる」ことはできません。講義部分をeラーニング化し、実技は対面で押さえる、という組み合わせになります。
eラーニングで実施しても「記録」は別に残す
見落とされがちですが、教育の方法がオンラインに変わっても、教育を実施した記録を残す義務は変わりません。
実施方法の欄は「対面」か「eラーニング(電気通信回線を使用する方法)」かを書き分けておくと、立入検査で実態を説明しやすくなります。なお、これらの記録は電磁的記録(クラウド・Excel)で保管して構いません(規則67条)。
自社の警備員に必要な法定時間数(新任・現任、免除・軽減区分)は教育時間チェッカーで確認できます。eラーニングをどの講義に充てるかを設計する前提として使えます。
個別の運用(自社のeラーニングが4要件を満たすか、実技の取扱い)は、管轄の公安委員会・警察署にご確認ください。
よくある質問
Q. 新任教育20時間をすべてeラーニングで実施できますか?
できません。eラーニングに置き換えられるのは講義(学科)の部分で、実技訓練(術科)は対面での実施が必要です。講義部分をオンライン化し、実技は対面で行う組み合わせになります。
Q. 市販のeラーニング教材を使えば必ず要件を満たしますか?
教材を使うだけでは不十分です。本人確認・受講状況の確認・知識習得の確認・質疑応答の機会という4要件を、自社の運用全体で満たしているかが判断基準です(施行規則38条)。
Q. eラーニングで教育した場合、記録は不要になりますか?
不要にはなりません。実施年月日・内容・時間数・実施方法・実施者・対象警備員を教育実施簿に記録する義務(規則66条1項6号)は、対面でもeラーニングでも同じです。実施方法の欄に「eラーニング」と書き分けます。
Q. いつの改正でeラーニングが認められましたか?
令和元年(2019年)8月30日施行の警備業法施行規則の改正で、教育の方法に「電気通信回線を使用して行うもの」が追加されました。