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新任教育の中身:基本教育と業務別教育の違い・内訳

運営・編集:ケイビログ編集部

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「基本教育と業務別教育、何が違うのか」——現場で迷うポイント

新人を採用して教育計画を立てるとき、「基本教育と業務別教育、具体的に何を教えればいいのか」で手が止まった経験はないでしょうか。時間数のルールは調べればわかるものの、それぞれの教育でどんな事項を、どの方法で教えるかまでは意外と体系的にまとまっていません。この記事では、警備業法施行規則38条の教育事項テーブルを読み解きながら、基本教育と業務別教育の中身と使い分けを整理します。

結論:基本教育は「警備員の共通土台」、業務別教育は「現場ごとの専門スキル」

結論から言うと、基本教育は警備業務の区分(1号〜4号・機械警備)を問わず全員が学ぶ共通の基礎です。一方、業務別教育はこれから就かせる区分ごとに教育事項が異なる専門教育です。両者は「合計で何時間」と一括りにされがちですが、教える内容も教え方(講義のみ/講義+実技)も条文上はっきり分かれています。

比較項目基本教育業務別教育
根拠条文施行規則38条2項同38条3項
対象全区分共通就かせる区分ごとに異なる
教育事項の数(新任)5事項区分により5〜6事項
実地教育での代替不可一定の上限まで可(38条3項備考)
教育方法原則は講義(一部は実技併用)講義+実技訓練

この違いを踏まえたうえで、以下で教育事項の中身を具体的に見ていきます。

基本教育の教育事項:新任5事項・現任3事項

基本教育の教育事項は施行規則38条2項の表に定められています。新任教育(表の一の項)と現任教育(表の二の項)で事項数が異なります。

新任の基本教育(一の項:5事項)

番号教育事項教育方法
警備業務実施の基本原則に関すること講義
警備員の資質の向上に関すること講義または実技訓練
警備業法その他警備業務の適正な実施に必要な法令に関すること講義
事故の発生時における警察機関への連絡その他応急の措置に関すること講義・実技訓練
護身用具の使用方法その他の護身の方法に関すること講義・実技訓練

現任の基本教育(二の項:3事項)

番号教育事項教育方法
警備業務実施の基本原則に関すること講義
警備業法その他警備業務の適正な実施に必要な法令に関すること講義
事故の発生時における警察機関への連絡その他応急の措置に関すること講義・実技訓練

現任では「警備員の資質の向上」と「護身の方法」が事項から外れる分、項目数は3つに減ります。ただし、現任教育でこれらを教えてはいけないわけではなく、教育計画で追加することは差し支えありません。

教育方法について、38条2項の備考では「応急の措置」と「護身の方法」は講義に加え実技訓練で行うと定められています。座学だけで済ませると、立入検査で「実技が未実施」と指摘される可能性があるため注意してください。

業務別教育の教育事項:区分で中身が変わる

業務別教育は施行規則38条3項の表で、警備業務の区分(1号〜4号・機械警備)ごとに教育事項が定められています。「講義及び実技訓練」が原則です。

1号警備(施設警備・巡回・保安など)

  1. 警備業務対象施設における人又は車両等の出入の管理の方法に関すること
  2. 巡回の方法に関すること
  3. 警報装置その他当該警備業務を実施するために使用する機器の使用方法に関すること
  4. 不審者又は不審な物件を発見した場合にとるべき措置に関すること
  5. その他当該警備業務を適正に実施するため必要な知識及び技能に関すること

2号警備(交通誘導・雑踏警備)

  1. 当該警備業務を適正に実施するため必要な道路交通関係法令に関すること
  2. 車両及び歩行者の誘導の方法に関すること
  3. 人又は車両の雑踏する場所における雑踏の整理の方法に関すること
  4. 当該警備業務を実施するために使用する各種資機材の使用方法に関すること
  5. 人若しくは車両の雑踏する場所等における負傷等の事故の発生に際してとるべき措置に関すること
  6. その他当該警備業務を適正に実施するため必要な知識及び技能に関すること

3号警備(貴重品・危険物運搬)

  1. 運搬に使用する車両等の構造及び設備に関すること
  2. 車両等による伴走及び運搬中における周囲の見張りの方法に関すること
  3. 運搬に係る現金、貴金属、美術品等の積卸しに際しての警戒の方法に関すること
  4. 当該警備業務を実施するために使用する各種資機材の使用方法に関すること
  5. 運搬中における盗難等の事故の発生に際してとるべき措置に関すること
  6. その他当該警備業務を適正に実施するため必要な知識及び技能に関すること

4号警備(身辺警備)

  1. 人の身辺における警戒に係る警戒位置その他警戒の方法に関すること
  2. 当該警備業務を実施するために使用する各種資機材の使用方法に関すること
  3. 不審者又は不審な物件を発見した場合にとるべき措置に関すること
  4. 人の身体に対する危害の発生を防止するためにとるべき避難等の措置に関すること
  5. その他当該警備業務を適正に実施するため必要な知識及び技能に関すること

機械警備業務

  1. 当該機械警備業務を実施するために使用する警備業務用機械装置の機能に関すること
  2. 警備業務用機械装置による警戒及び指令の方法に関すること
  3. 指令業務に従事する警備員と現場に向かう警備員との間の連絡の方法に関すること
  4. 基地局において事故の発生に関する情報を受信した場合における現場における事実の確認の方法に関すること
  5. その他当該機械警備業務を適正に実施するため必要な知識及び技能に関すること

どの区分にも「その他…必要な知識及び技能」という包括項目があります。これは会社独自の手順書や現場ルールなど、法令には書き切れない実務的な教育をここに充てる想定です。教育計画書にはこの包括項目に何を割り当てるかを具体的に記載しておくと、立入検査で説明しやすくなります。

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時間数と教育事項の関係:具体的な計算例

新任教育の時間数は基本教育と業務別教育の合計で決まります(施行規則38条4項)。一般の新人なら合計20時間以上ですが、基本教育を何時間・業務別教育を何時間という個別の最低時間は固定されていません。20時間の総枠のなかで、教育計画で配分を決めます。

たとえば、2号警備(交通誘導)に新規採用した警備経験のない隊員の場合を考えます。

  • 必要な合計時間:20時間以上(38条4項の表1項)
  • 基本教育の事項数:5事項
  • 業務別教育の事項数:6事項

仮に基本教育に8時間、業務別教育に12時間を割り当てるとします。業務別教育12時間のうち、実地教育で代替できるのは「業務別の2分の1」または「5時間」の少ない方です。12 ÷ 2 = 6時間 と 5時間を比べると5時間が少ないので、実地教育での代替上限は5時間になります。つまり座学で最低7時間(12 − 5)、残り5時間は現場でのOJTに振り替えてよい計算です。

現任教育の場合は合計10時間以上(38条5項の表1項)で、毎年度(4月1日〜翌3月31日)の実施が必要です。在籍する一般の警備員が5名なら、年度内に 10時間 × 5名 = 延べ50時間分の教育実施記録が必要になります。

自社で確認・対応する手順

基本教育と業務別教育の中身を把握したうえで、次の順に確認を進めると抜け漏れを防げます。

  1. 業務区分の確認——自社で行っている警備業務が1号〜4号・機械警備のどれに当たるかを特定する。複数の区分にまたがる場合は、区分ごとに業務別教育の計画を立てる必要があります。

  2. 教育事項の洗い出し——上記の一覧から、自社の区分に該当する業務別教育の事項を確認する。基本教育は全区分共通なので、新任5事項・現任3事項をそのまま使います。

  3. 教育計画書への落とし込み——教育事項ごとに「実施時期・時間数・教育方法(講義か実技か)・実施者・対象者の範囲」を記載した教育計画書を作成する。年度開始の30日前までに営業所に備え付ける義務があります(施行規則66条3項)。

  4. 実施と記録——教育を実施したら、教育実施簿に実施日・時間数・内容・教育を行った者・受講した警備員を記録し、営業所に備え付ける。記録の保存期間は年度終了後2年間です(施行規則66条2項)。

  5. 隊員ごとの時間数チェック——年度末が近づいたら、各隊員の累計が法定の時間数に達しているかを確認する。

注意点・誤解しやすいポイント

「基本教育は座学だけ」という誤解——基本教育のうち「応急の措置」と「護身の方法」(新任のみ)は、講義に加えて実技訓練が必須です(38条2項備考2号)。講義だけで記録していると、立入検査で教育方法の不備を指摘されるおそれがあります。

「業務別教育は全部OJTで代えられる」という誤解——業務別教育の実地教育による代替には上限があります(38条3項備考)。たとえば一般の新任20時間のケースでは、業務別教育に割り当てた時間数の2分の1か5時間の少ない方までです。「現場に出せばOK」ではなく、座学部分の確保が必要です。なお、基本教育はそもそも実地教育での代替対象になりません。

「現任教育は基本教育だけでよい」という誤解——現任教育でも基本教育と業務別教育の両方が必要です。「基本教育+業務別教育を合わせて10時間以上」であり、どちらか一方だけを10時間やればよいわけではありません。

教育事項に対応しない教育は法定時間に算入できない——自社独自の研修や安全大会を実施すること自体は有益ですが、38条2項・3項の教育事項に該当しない内容は法定教育の時間数に含められません。計画書には条文の教育事項に沿った内容を明記し、立入検査で「この研修はどの事項に当たるのか」を説明できるようにしておく必要があります。

詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。2026年時点の規定に基づいて解説していますが、警備業法施行規則は改正されることがあるため、最新情報はe-Gov法令検索でご確認ください。

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まとめ

  • 基本教育は全区分共通の土台(新任5事項・現任3事項)、業務別教育は就かせる区分固有の専門教育(区分により5〜6事項)——根拠は施行規則38条2項・3項
  • 基本教育でも「応急の措置」「護身の方法」は実技訓練が必須。業務別教育は講義+実技訓練が原則
  • 実地教育(OJT)で代替できるのは業務別教育の一部のみ。基本教育は代替不可
  • 教育計画書に教育事項・方法・時間数を明記し、実施後は教育実施簿に記録して年度終了後2年間保存する
  • 2026年時点の規定で解説。最新の条文はe-Gov法令検索で確認を

よくある質問

Q. 基本教育と業務別教育は別々に時間数が決まっていますか?

2026年時点の施行規則では、基本教育と業務別教育の個別の最低時間数は定められていません。新任なら合計20時間以上、現任なら合計10時間以上の総枠のなかで、両方を実施する前提で教育計画により配分します(施行規則38条4項・5項)。ただし、どちらか一方を0時間にすることはできず、両方の実施が必要です。

Q. 業務別教育の内容は1号〜4号で同じですか?

異なります。施行規則38条3項の表で区分ごとに教育事項が個別に定められています。たとえば1号は「出入の管理」「巡回」、2号は「車両・歩行者の誘導」「道路交通関係法令」など、現場の業務内容に対応した項目です。複数の区分にまたがる業務を行う場合は、それぞれの区分の業務別教育が必要です。

Q. 基本教育は全部講義だけで実施できますか?

できません。「応急の措置」と「護身の方法」(新任のみ)は講義に加えて実技訓練での実施が必須です(38条2項備考2号)。それ以外の事項は講義で行えますが、「警備員の資質の向上」は講義または実技訓練のいずれかで実施します。

Q. 業務別教育の時間は全部実地教育(OJT)に置き換えられますか?

全部は置き換えられません。実地教育で代替できるのは業務別教育時間数の一部で、区分ごとに上限があります(38条3項備考)。一般の新任(20時間)の場合、業務別教育の2分の1か5時間の少ない方が上限です。たとえば業務別に12時間を割り当てたなら、12 ÷ 2 = 6時間と5時間を比べて5時間までが実地で代替可能です。

Q. 自社独自の研修は法定教育の時間に含められますか?

施行規則38条2項・3項の教育事項に該当する内容であれば、含めることが可能です。ただし、教育事項に対応しない独自の研修(例:社内表彰式や一般的な接遇マナー講座)は法定時間数に算入できません。教育計画書で「この研修は38条のどの事項に当たるか」を明記しておくことが立入検査対策になります。

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参考にした一次情報

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