教育内容

警備業務の区分(1号〜4号)と業務別教育の内容の違い

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「1号警備と2号警備で教育内容は違うのか」——区分の見極めが教育計画の出発点

自社で複数の警備業務を受注している場合、「1号と2号で業務別教育の中身は変わるのか」「区分をまたいで配置転換したら教育はやり直しか」といった疑問は実務で頻繁に出てきます。教育計画を立てる前に、まず自社の業務がどの区分に該当するかを正しく押さえておかないと、教育内容の過不足が生じ、立入検査で指摘を受けるリスクがあります。この記事では、警備業法が定める4つの業務区分の定義から、区分ごとに異なる業務別教育の中身、複数区分をまたぐ場合の対応まで整理します。

結論:業務別教育の内容は区分(1号〜4号)で法令上まったく別

結論から言うと、警備業務は警備業法第2条第1項で4つの区分に分かれており、業務別教育の教育事項は区分ごとに施行規則38条3項の表で個別に定められています。基本教育(全区分共通の土台)とは異なり、業務別教育はこれから就かせる業務の区分に対応した内容を教える義務があります。1号業務の隊員に2号の教育事項を実施しても、法定教育にはなりません。

警備業法が定める4つの業務区分

警備業法第2条第1項は「警備業務」を次の4号に分類しています。いずれも「他人の需要に応じて行うもの」が前提です。

区分法律上の定義(第2条第1項)代表的な業務
1号事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務施設常駐警備、巡回警備、保安警備、空港保安警備、機械警備
2号人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務交通誘導警備、雑踏警備
3号運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務貴重品運搬警備、核燃料物質等危険物運搬警備
4号人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務身辺警備(ボディガード)

1号は「場所を守る」、2号は「人や車両の流れの安全を守る」、3号は「運搬中の物を守る」、4号は「人の身体を守る」と整理すると区別しやすくなります。なお、機械警備業務は1号の中に含まれますが、教育面では別建てで教育事項が設定されています(施行規則38条3項の表)。

区分ごとの業務別教育——何を教えるかが法令で決まっている

業務別教育は、施行規則38条3項で区分ごとに教育事項が列挙されています。すべて「講義及び実技訓練」で行います。以下は各区分の教育事項を並べた比較です。

教育事項1号2号3号4号
出入管理の方法
巡回の方法
警報装置・機器の使用方法
道路交通関係法令
車両・歩行者の誘導方法
雑踏の整理方法
運搬車両の構造・設備
伴走・周囲の見張り方法
積卸し時の警戒方法
警戒位置・警戒方法
危害防止の避難等の措置
不審者・不審物発見時の措置
事故発生時にとるべき措置
各種資機材の使用方法
その他必要な知識・技能

この表からわかるとおり、「不審者発見時の措置」は1号と4号に共通ですが、「道路交通関係法令」は2号だけ、「運搬車両の構造」は3号だけなど、現場で求められるスキルに合わせて教育事項が設計されています。自社の業務区分に合った教育事項を確認したい方は、教育時間チェッカーで区分を選ぶと、必要な教育の種類と時間数をまとめて確認できます。

区分と検定資格の対応——教育時間の免除・軽減に直結する

警備員検定(警備業法23条)は6種別あり、それぞれが業務区分に対応しています。

検定種別対応する業務区分
施設警備業務検定1号
空港保安警備業務検定1号
交通誘導警備業務検定2号
雑踏警備業務検定2号
貴重品運搬警備業務検定3号
核燃料物質等危険物運搬警備業務検定3号

4号(身辺警備)には対応する検定種別が存在しません。

この対応関係は教育時間の判定に直結します。たとえば施設警備(1号)の2級検定を持つ隊員を交通誘導(2号)に配置転換する場合、検定の種別(1号)と就かせる業務(2号)が異なるため新任教育は免除されず、「他の種別の検定合格者」として業務別教育のみ10時間が必要です(施行規則38条4項の表2項)。

逆に、交通誘導2級を持つ人をそのまま交通誘導業務に就かせる場合は、検定の種別と業務区分が一致するため新任教育は免除されます(38条4項柱書)。

現任教育でも区分と検定の一致が重要です。1級検定を持ちその種別と同じ業務に従事している場合は現任教育が免除(0時間)になり、2級検定で同一種別に従事していれば業務別教育のみ6時間に軽減されます(施行規則38条5項)。

複数区分をまたぐ場合の具体的な計算例

自社で1号と2号の両方を受注している警備会社を想定します。1号(施設警備)に従事している隊員を新たに2号(交通誘導)にも就かせる場合、2号の業務別教育が必要です。

この隊員が1号の施設警備に直近3年で通算1年以上従事していれば、「別区分の業務に通算1年以上従事」に該当し、新任教育は基本教育+業務別教育で13時間が必要です(38条4項の表7項)。仮に基本教育5時間、業務別教育8時間の配分にした場合、実地教育で代替できるのは業務別教育の2分の1(8 ÷ 2 = 4時間)または5時間の少ない方で、4時間が上限です。座学は最低4時間(8 − 4)確保する計算になります。

さらに、現任教育は区分ごとに必要です。1号と2号の両方に従事する一般の警備員なら、年度あたり各10時間、合計で延べ20時間の教育実施記録が必要になります。在籍5名が両区分に従事していれば、20時間 × 5名 = 延べ100時間分です。区分が増えるほど教育の負荷は跳ね上がるため、配置転換は計画的に行う必要があります。

自社で確認・対応する手順

  1. 業務区分の特定——受注中の警備業務を1号〜4号に分類する。「施設常駐+交通誘導」のように複数区分にまたがる場合は、それぞれを区分として特定します。

  2. 隊員ごとの業務区分の対応づけ——各隊員が実際に従事している(これから就かせる)業務区分を確認する。区分をまたぐ配置転換がある隊員は、転換先の区分の教育が追加で必要になる可能性があります。

  3. 資格・経験の棚卸し——検定合格証明書の種別や指導教育責任者資格の区分が、就かせる業務区分と一致するかを隊員ごとに確認する。

  4. 教育計画の策定——区分ごとに業務別教育の教育事項を教育計画書に落とし込む。教育計画書は年度開始の30日前までに営業所に備え付ける義務があります(施行規則66条3項)。

  5. 実施記録の管理——教育を実施したら区分・教育事項単位で教育実施簿に記録する。

注意点・誤解しやすいポイント

「1号と2号をまとめて教育してよい」という誤解——基本教育は区分を問わず共通なので、1号と2号の隊員を同じ教室で受けさせても問題ありません。しかし業務別教育は区分ごとに教育事項が異なるため、1号の「出入管理」の講義を受けても2号の法定教育にはなりません。立入検査では、教育実施簿の教育事項が従事する業務区分に対応しているかが確認されます。

「検定を持っていれば区分を問わず教育が軽減される」という誤解——検定合格証明書による新任教育の免除は、種別と就かせる業務が一致する場合のみです(38条4項柱書)。種別が違えば、業務別教育10時間または3時間の軽減にとどまります。検定の種別と業務区分の対応を取り違えると、教育不足の状態で業務に就かせてしまうおそれがあります。

「4号は検定で免除できる」という誤解——4号業務(身辺警備)に対応する検定種別は存在しません。そのため、検定による新任教育の免除は4号業務では使えず、指導教育責任者(4号区分)を持つ場合のみ免除の対象になります。

個別の適用判断に迷ったときは、管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。2026年時点の規定に基づいていますが、施行規則は改正されることがあるため、最新の条文はe-Gov法令検索で確認をお勧めします。

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まとめ

  • 警備業務は警備業法第2条第1項で1号(施設)・2号(交通誘導・雑踏)・3号(運搬)・4号(身辺)の4区分に分かれ、業務別教育の教育事項は区分ごとに異なる
  • 検定資格は6種別あり、種別と就かせる業務区分の一致が教育時間の免除・軽減の要件——4号には対応する検定が存在しない
  • 複数区分に従事する隊員は区分ごとに業務別教育が必要で、教育負荷が増える(年度あたり各10時間×区分数)
  • 教育計画書には区分ごとの教育事項を明記し、教育実施簿は従事する業務区分に対応した内容で記録する
  • 個別の判断は管轄の公安委員会に確認を。最新の条文はe-Gov法令検索で確認

よくある質問

Q. 1号警備と2号警備では業務別教育の内容は違いますか?

違います。業務別教育の教育事項は施行規則38条3項の表で区分ごとに個別に定められています。1号は「出入管理」「巡回」「警報装置の使用」など施設に関する事項、2号は「車両・歩行者の誘導」「道路交通関係法令」「雑踏の整理」など交通・雑踏に関する事項です。他の区分の教育事項では法定教育として認められません。

Q. 複数の業務区分に従事する隊員の教育はどうすればよいですか?

従事する区分それぞれの業務別教育が必要です。基本教育は全区分共通なので1回で済みますが、業務別教育は区分ごとに教育事項が異なるため、それぞれ実施して記録に残す必要があります。現任教育は各区分で年度10時間以上が基本です。

Q. 4号警備(身辺警備)には検定がないのですか?

2026年時点では、4号業務(身辺警備)に対応する警備業務検定の種別は存在しません。検定による新任教育の免除や現任教育の軽減は4号業務では使えません。指導教育責任者資格者証(4号区分)を持つ場合のみ、新任教育の免除や現任教育の免除が適用されます。

Q. 検定の種別と就かせる業務区分が違う場合、教育はどうなりますか?

新任教育は免除にならず、「他の種別の検定合格者」として業務別教育のみ10時間が必要です(施行規則38条4項の表2項)。さらに就かせる区分で直近3年の通算1年以上の従事経験があれば3時間に短縮されます(同表3項)。現任教育でも免除にはならず、業務別教育のみ6時間です(38条5項の表2項)。

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