備付け書類

他の都道府県で警備業務を行うときの届出|営業所を設けない場合と設ける場合

運営・編集:ケイビログ編集部

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他県の発注者から「来月からそちらの警備員をうちの現場(別の都道府県)に入れてほしい」と言われたとき、営業所を新たに構えるべきか、届出だけで済むのかが分からず手が止まる管理者は少なくありません。本記事では警備業法第9条・第11条を根拠に、営業所を設けない場合と設ける場合で届出がどう違うのかを整理します。

結論:営業所の有無にかかわらず、業務を始める前日までに届出が必要

結論から言うと、営業所を新たに設けるかどうかに関わらず、他の都道府県で初めて警備業務を行おうとする前日までに、その都道府県の公安委員会へ届出をする必要があります。根拠は警備業法第9条で、「主たる営業所の所在する都道府県以外の都道府県の区域内に営業所を設け、又は当該区域内で警備業務を行おうとするとき」に届出義務を課しています。つまり条文上、営業所を設ける場合と設けずに業務だけ行う場合は、この第9条届出では区別されていません。

一方で、営業所を新たに設ける場合は、その後その営業所に関する事項(名称・所在地・取扱う業務区分・指導教育責任者等)に変更が生じたときに、別の変更届出(警備業法第11条)が必要になります。営業所を設けない一時的な業務だけであれば、この変更届出は基本的に発生しません。ここが実務上の分かれ道です。

詳細説明:根拠条文と届出の種類を区分ごとに整理する

警備業法施行規則第11条は、第9条届出の様式と手続きを定めています。届出書は別記様式第4号(営業所設置等届出書)を用い、所轄警察署長を経由して提出します。提出期限は「当該営業所を設け、又は警備業務を行おうとする日の前日まで」です。警視庁もこの様式第4号を案内しており、岐阜県警の案内でも提出期限が「前日まで」であることが明記されています。

営業所を新設したあとに、その営業所の名称・所在地や取扱業務区分などを変更する場合は、第9条届出とは別の手続きになります。警備業法第11条3項は第9条3号事項(営業所関連事項)の変更に第11条を準用しており、施行規則第21条により別記様式第7号で変更の日から10日以内に届け出ます。さらに、認定内容など主たる事項そのものを変更する場合は、第11条1項・施行規則第17条に基づき別記様式第6号で、原則10日以内(登記事項証明書の添付が必要な変更は20日以内)に届け出ます。

場面根拠条文届出書(様式)提出期限提出先
他県で営業所を設けずに業務のみ行う法9条・施行規則11条営業所設置等届出書(様式第4号)業務を行う日の前日まで業務を行う都道府県の公安委員会(所轄警察署経由)
他県に営業所を新設する法9条・施行規則11条同上(様式第4号)営業所を設ける日の前日まで営業所所在地の都道府県公安委員会(所轄警察署経由)
新設営業所の名称・所在地・業務区分等の変更法11条3項・施行規則21条変更届出書(様式第7号)変更の日から10日以内主たる営業所所在地の公安委員会
認定事項など主たる事項の変更法11条1項・施行規則17条変更届出書(様式第6号)変更の日から10日以内(登記事項証明書添付が必要なら20日以内)主たる営業所所在地の公安委員会

警備業法は2022年前後の改正で許可制から認定制に整理され、現行の条番号(第9条・第11条)は旧版の条番号と一致しません。社内の古い資料やインターネット上の古い解説記事を参照する際は、必ずe-Gov法令検索で現行の条文を確認してください。

自社がどの届出を漏らしているか、備付け書類や届出の全体像を一度棚卸ししたい場合は、備付け書類8点チェックリストで営業所に備えるべき書類・届出事項との対応をまとめて確認できます。

教育義務は営業所の有無とは別に、配置した警備員ごとに発生する

届出の有無と混同しやすいのが、教育義務の扱いです。警備業法第21条2項・施行規則第38条は、警備業者に対し警備員ごとに新任教育(基本教育+業務別教育で合計20時間以上)と現任教育(毎年度=4月1日から翌3月31日までに合計10時間以上)を実施する義務を課しています。この義務は営業所を設けているかどうかで区別されておらず、他県の現場に一時的に警備員を配置する場合でも、その警備員については通常どおり教育記録を備える必要があります。

例えば、業務別教育が6時間の区分で実地教育による代替を使う場合、代替できる時間は規則上2分の1までなので 6 ÷ 2 = 3時間 までです。他県の現場に配置する警備員が5名いて、全員に現任教育10時間ずつを実施するなら、年度内に 10 × 5 = 50時間 分の実施記録を残す必要があります。営業所を他県に構えていなくても、この記録自体は主たる営業所側で一括管理して構いません。

自社で確認・対応する手順

  1. 他県での業務開始が決まったら、営業所を新設するかどうかをまず決める(人員を一時的に派遣するだけなら営業所不要なケースが多い)
  2. いずれの場合も、業務を行う日(または営業所を設ける日)の前日までに様式第4号で届出できるよう、逆算してスケジュールを組む
  3. 営業所を新設する場合は、その営業所の指導教育責任者の選任や備付け書類の整備も同時に進める(備付け書類8点チェックリストで漏れを確認)
  4. 届出後に営業所の名称・所在地・取扱業務区分に変更が生じたら、10日以内に変更届出(様式第7号)を提出する
  5. 他県の現場に配置する警備員についても、新任教育・現任教育の実施記録を通常どおり作成・保存する

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注意点・誤解しやすいポイント

  • 第9条の届出をしたこと自体は「営業所を設けた」ことを意味しません。業務のみ届出をするケースと、営業所を設けて届出をするケースが同じ様式・同じ期限(前日まで)になっているため混同しやすい点です。
  • 第9条届出の期限は「前日まで」の事前届出ですが、営業所の変更届出(第11条)は「変更の日から10日以内」の事後届出です。期限の起点(事前か事後か)を取り違えないようにしてください。
  • 届出をしていても、教育義務(第21条2項・施行規則38条)は免除されません。営業所の有無や届出の種類にかかわらず、配置した警備員ごとに新任・現任の教育記録が必要です。
  • 届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合は、警備業法第58条により30万円以下の罰金の対象となります。

詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。制度は改正されることがあるため、最新の規定はe-Gov法令検索や各都道府県警察の公式案内(例:警視庁、岐阜県警)で確認することをおすすめします。

まとめ

  • 他県で初めて警備業務を行う、または営業所を設ける場合は、警備業法第9条に基づき、業務開始・営業所設置の前日までに様式第4号で届出が必要
  • 営業所を設けない一時的な業務と、営業所を新設する場合とで、第9条届出自体の様式・期限は共通(岐阜県警の案内でも「前日まで」と明記)
  • 営業所を新設した後の名称・所在地等の変更は第11条・施行規則21条に基づき10日以内に変更届出(様式第7号)が別途必要
  • 教育義務(新任20時間以上・現任10時間以上)は営業所の有無にかかわらず配置した警備員ごとに発生し、届出とは別立てで管理する必要がある
  • 届出の不備・不履行には30万円以下の罰金(第58条)のリスクがあるため、他県展開の前にスケジュールを逆算して確認しておくことが望ましい

よくある質問

Q. 営業所を設けず、警備員を数日だけ他県の現場に派遣する場合も届出は必要ですか。

2026年時点の規定では、警備業法第9条は「営業所を設け、又は当該区域内で警備業務を行おうとするとき」と定めており、営業所の有無にかかわらず、その都道府県で初めて警備業務を行う場合は届出の対象になります。日数が短い派遣であっても条文上は区別されていないため、事前に管轄の公安委員会(所轄警察署経由)に確認することをおすすめします。

Q. 届出を忘れていた場合、どうすればよいですか。

気づいた時点で速やかに所轄警察署(生活安全課等)に相談し、届出書(様式第4号)を提出することが望ましいです。警備業法第58条は届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合を30万円以下の罰金の対象としているため、放置せず早期に対応することが重要です。

Q. 他県の営業所の指導教育責任者は、主たる営業所と兼任できますか。

指導教育責任者の選任要件や兼任の可否は、営業所ごとの業務形態や人員体制によって扱いが異なり得るため、一律には回答できません。営業所を新設する際は、備付け書類の整備と合わせて管轄の公安委員会に確認することをおすすめします。

Q. 第9条届出と、営業所を新設した後の変更届出(第11条)はどちらも必要になりますか。

営業所を新設する場合は、まず開設前日までに第9条の届出(様式第4号)が必要です。その後、営業所の名称・所在地・取扱業務区分などに変更が生じた都度、第11条・施行規則21条に基づく変更届出(様式第7号、10日以内)が別途必要になります。両者は提出タイミングも期限の起点も異なるため、別の手続きとして管理してください。

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