機械警備業務開始届出書、結局いつまでに何を出せばいいのか
「機械オンリーで施設を見守る契約を取ったが、警備員を常駐させないだけに届出関係が不安」「基地局と待機所、両方に体制を作る必要があるのか」——機械警備業務を新規に始めようとする管理者・指導教育責任者の方が最初につまずくのがこの届出です。本記事では、警備業法・施行規則の条文に沿って、機械警備業務開始届出書の記載事項・提出期限・必要な体制を整理します。
結論:業務開始の前日までに、基地局所在都道府県の公安委員会へ届出
結論から言うと、機械警備業を営む警備業者(機械警備業者)は、機械警備業務を行おうとするときに、警備業法第40条に基づき、受信機器を設置する施設(基地局)または送信機器を設置する警備業務対象施設が所在する都道府県ごとに、その区域を管轄する公安委員会へ届出書を提出しなければなりません。提出期限は警備業法施行規則第54条により「機械警備業務を開始する日の前日まで」、様式は同規則第53条により別記様式第18号と定められています。開始してから慌てて届け出るのではなく、契約前の準備段階で逆算しておく必要がある手続きです。
詳細説明:記載事項・基地局・待機所・機械警備業務管理者
警備業法第40条が定める届出書の記載事項は次の3点です。
| 号 | 記載事項 |
|---|---|
| 一号 | 氏名または名称・住所(法人は代表者の氏名) |
| 二号 | 基地局の名称・所在地、および同法第42条第1項により選任する機械警備業務管理者の氏名・住所 |
| 三号 | 内閣府令で定める事項 |
三号の「内閣府令で定める事項」は、施行規則第55条により「機械警備業務を実施する営業所の名称及び所在地、警備業務用機械装置の種類並びに基地局及び待機所の所在地」と具体化されています。つまり届出書には、基地局だけでなく待機所(基地局から警備員が急行する拠点)の所在地まで書く必要があるという点が見落とされがちです。
自社の状況を確認したい方は、備付け書類チェックリストで機械警備関連の届出・記録が抜け落ちていないか一覧で確認できます。
さらに、基地局には機械警備業務管理者を基地局ごとに選任する義務があります(法第42条1項)。選任できるのは、都道府県公安委員会が行う機械警備業務管理者講習を修了し、資格者証の交付を受けている者に限られます。加えて法第43条は「即応体制の整備」として、盗難等の事故情報を受信した場合に速やかに警備員を現場に到着させられるよう、警備員・待機所・車両等を都道府県公安委員会規則の基準に従って配置することを義務付けています。この到着時間の基準は都道府県ごとに規則で定められており、例えば東京都の規則では特別区の区域が25分以内、それ以外の区域が30分以内とされています。同じ機械警備業務でも、営業所の所在地によって求められる到着基準が異なる点に注意してください。
自社で確認・対応する手順
機械警備業務を新たに始める、または基地局を追加する場合は、次の順番で確認します。
- 基地局(受信機器設置施設)と待機所(警備員急行拠点)の所在地を確定する
- 機械警備業務管理者講習を修了し資格者証を保有する者を基地局ごとに選任する
- 営業所所在地の公安委員会規則を確認し、必要な到着時間基準を満たす警備員・車両の配置計画を立てる
- 別記様式第18号で届出書を作成し、営業所の名称・所在地、警備業務用機械装置の種類、基地局・待機所の所在地を記載する
- 業務開始日の前日までに、基地局所在都道府県を管轄する公安委員会(実務上は経由警察署の生活安全課)に提出する
基地局を廃止したときや、届出済みの基地局名称・機械警備業務管理者に変更が生じたときは、警備業法第41条に基づく別の届出(廃止・変更の届出)が必要になる点も併せて押さえておくと安心です。
注意点・誤解しやすいポイント
- 「前日まで」は開始予定日基準:契約締結日ではなく、実際に機械警備業務を開始する日の前日が起点です。契約から稼働開始まで日数が空く案件では、届出のタイミングを別途管理しておく必要があります。
- 待機所の記載漏れ:基地局の届出は意識していても、待機所の所在地(内閣府令で定める事項)が記載から抜けるケースが見られます。
- 到着時間基準は営業所所在地で変わる:東京都特別区の25分は一例に過ぎず、自社の営業所・待機所が所在する都道府県の公安委員会規則を必ず確認してください。
- 未提出・虚偽記載には罰則がある:届出をしなかった場合は警備業法第57条第1項第6号により100万円以下の罰金、届出書・添付書類に虚偽記載をした場合は同法第58条第1項第3号により30万円以下の罰金の対象となり得ます。
機械警備業務管理者や警備員には、機械警備という業務区分に応じた教育も別途必要です。2026年時点の規定では、新任教育は基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上、現任教育は毎年度(4月1日〜翌3月31日)合わせて10時間以上を実施する義務があり(施行規則第38条)、実地教育による代替は業務別教育時間の2分の1までが上限です。例えば業務別教育6時間のうち実地教育で代替できるのは6÷2=3時間まで、在籍する警備員5名分の現任教育を年度内に終えるなら10時間×5名=延べ50時間分の実施記録が必要になります。届出関係の整備と並行して、教育記録の管理体制も見直しておくことをおすすめします。14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で教育実施簿・教育計画書をクラウド管理できるケイビログも選択肢のひとつです。
詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。
まとめ
- 機械警備業務を行おうとするときは、基地局所在都道府県を管轄する公安委員会へ、業務開始日の前日までに届出書(別記様式第18号)を提出する(警備業法第40条、施行規則第53条・第54条)
- 届出事項は氏名・住所、基地局の名称/所在地と機械警備業務管理者の氏名・住所、営業所名称/所在地・機械装置の種類・待機所所在地(施行規則第55条)
- 基地局ごとに機械警備業務管理者講習修了者の選任が必要(法第42条1項)、即応体制の到着時間基準は都道府県公安委員会規則ごとに異なる(法第43条)
- 未提出は100万円以下、虚偽記載は30万円以下の罰金の対象になり得る(法第57条・第58条)
- 基地局の廃止・変更時は別途、廃止等の届出(法第41条)が必要
まずは備付け書類チェックリストで機械警備関連の届出・体制の抜け漏れを確認し、教育記録の管理体制もあわせて見直してみてください。
よくある質問
Q. 機械警備業務開始届出書はどこに提出すればよいですか?
基地局または送信機器を設置する警備業務対象施設が所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会に提出します(警備業法第40条)。実務上は、その区域を管轄する警察署の生活安全課(警備業担当)が窓口になります。
Q. 待機所を後から追加した場合も届出が必要ですか?
待機所の所在地は施行規則第55条により届出事項(内閣府令で定める事項)に含まれるため、待機所を追加・変更した場合は警備業法第41条に基づく変更の届出が必要になります。詳細な手続きは管轄の公安委員会に確認してください。
Q. 機械警備業務管理者は誰でも選任できますか?
選任できるのは、都道府県公安委員会が実施する機械警備業務管理者講習を修了し、機械警備業務管理者資格者証の交付を受けている者に限られます(警備業法第42条1項)。基地局ごとに選任する必要があります。
Q. 即応体制の「25分」はすべての地域で同じ基準ですか?
同じではありません。到着時間の基準は都道府県公安委員会規則で個別に定められており、東京都の例では特別区が25分以内、それ以外の区域が30分以内とされています。自社の営業所・待機所が所在する都道府県の規則を確認する必要があります。
Q. 届出を忘れて機械警備業務を開始してしまった場合はどうなりますか?
警備業法第57条第1項第6号により100万円以下の罰金の対象となり得ます。気付いた時点で速やかに管轄の公安委員会に相談し、届出書を提出することをおすすめします。