備付け書類

警備員名簿は退職後どうする?記載事項の変更と備付けの扱い

運営・編集:ケイビログ編集部

結論:退職しても名簿は消さず、「退職年月日」を書いて1年間は保管する

警備員が退職すると、名簿からその人の行を消してよいのか、住所や氏名が変わった欄はどう直せばよいのか、迷う管理者は少なくありません。結論から言うと、退職者の記載を名簿から削除してはいけません。退職年月日を書き加えたうえで、退職の日から1年間は名簿をそのまま保存する必要があります(警備業法施行規則66条2項)。また、住所変更や資格取得などの記載事項の変更も、書いてあった内容を消して新しい内容だけを残すのではなく、いつ何がどう変わったかを追える形で記録を残すのが実務上の基本です。この記事では、退職時に名簿へすべきことと、記載事項が変わったときの扱い、備付け・保存の考え方を順に整理します。

退職者の名簿を残す根拠 — 施行規則66条

警備業者は、営業所ごとに警備員の名簿を備え、氏名・本籍・住所・生年月日・採用年月日に加えて「退職した場合には退職年月日」を記載しなければならないと定められています(警備業法45条、警備業法施行規則66条1項1号)。つまり退職は名簿から人を除く出来事ではなく、名簿に「退職年月日」という項目を記入して確定させる出来事だと考えるのが正確です。

保存期間についても同条2項に規定があり、名簿は警備員が退職した後においても、その退職の日から1年間保存しなければなりません。備付け書類には他にも保存期間の定めがあり、指導計画書は実地に指導した日から2年間、教育計画書や教育実施の記録は当該年度が終了した日から2年間とされています。書類ごとに基準となる日と期間が違うため、「退職者が出たから全部まとめて処分してよい」と早合点しないことが大切です。

記載事項が変わったときの扱い — 消すのではなく残す

在籍中の警備員でも、結婚による氏名変更、住所の変更、検定合格や指導教育責任者資格の取得などで記載事項が変わる場面があります。このとき、古い記載をきれいに消して新しい内容だけを書き直すと、いつからその内容だったのかが名簿からわからなくなってしまいます。立入検査では名簿と教育実施簿・指導計画書の整合性も確認されるため、「いつ・何が・どう変わったか」を追える状態にしておくと説明がしやすくなります。実務では、旧記載を二重線などで判読できる形に残したまま新しい記載を追記する、変更履歴を別欄・別行に残す、といった運用がよく取られます。

自社の名簿が施行規則の記載事項イ〜ヘをすべて満たした欄構成になっているか不安な場合は、警備員名簿テンプレートで欄の抜け漏れを確認してみてください。

「名簿の変更」と「変更の届出」は別物

もう一つ混同しやすいのが、名簿の記載事項の変更と、公安委員会への「変更の届出」です。警備業法11条が定める変更届出は、会社の名称・住所・営業所の所在地・役員など、認定を受けた事項(同法5条1項各号)が変わったときに主たる営業所を管轄する公安委員会へ提出するものです。これに対し、個々の警備員の住所変更や退職といった名簿上の記載変更は、この届出の対象には含まれていません。名簿は営業所に備え付けて自社で管理・更新する内部の法定書類であり、公安委員会への提出書類ではないという点を分けて理解しておくと、どちらの手続きが必要な場面かで迷わなくなります。

変わった内容名簿での対応公安委員会への届出
警備員の住所・氏名の変更名簿の記載を変更履歴が分かる形で更新不要(名簿は内部の備付け書類)
警備員の退職退職年月日を記載し、退職後1年間保存不要
会社名・役員・営業所所在地の変更—必要(警備業法11条・5条1項各号)

退職者が出たときに確認する手順

  1. 退職年月日を名簿に記載する:退職の事実が確定した時点で、名簿の該当欄に退職年月日を書き加えます。行自体は削除しません。
  2. 教育の記録欄を確定させる:退職までに受けた警備員教育の実施年月日・内容・時間数・実施者を、名簿と教育実施簿の双方で一致させておきます。例えば現任教育10時間を在籍する警備員3名に実施していた場合、10時間×3名=延べ30時間分の記録が名簿・教育実施簿に必要ですが、年度途中で退職した警備員については、退職日までに実施した分だけを記録として確定させれば足ります。未実施分を無理に追加で受けさせる必要はありません。
  3. 保存期間を管理する:退職の日から1年間は名簿を保管する期限として記録しておきます。年に一度など、退職後1年を超えた名簿を確認するタイミングを決めておくと、廃棄のタイミングを見失いません。
  4. 在籍者側の記載も見直す:退職に伴って業務分担が変わり、他の警備員の従事業務の内容が変わる場合は、その欄も忘れずに更新します。
  5. 写真・資格欄は在籍者分を中心に維持する:退職者の写真更新は不要になりますが、在籍する警備員については3年以内に撮影した写真であることを引き続き確認します。

警備員名簿テンプレートを使うと、退職年月日や教育記録の欄がもともと用意された状態から名簿を作り直せるため、欄の作り忘れを防げます。

誤解しやすいポイント

  • 退職と同時に名簿から削除してしまう:最も多い誤解です。退職後1年間は保存する義務があるため、退職の連絡を受けた時点で行を消してはいけません。
  • 保存期間を「入社から」と勘違いする:保存期間の起点は退職の日です。在籍期間の長さとは関係なく、退職後1年間という期間で数えます。
  • 名簿の記載変更を届出だと思い込む、または逆に届出が要る変更を名簿だけで済ませてしまう:前述のとおり、名簿の記載変更(住所・氏名・退職など)は届出の対象外ですが、会社の認定事項の変更は別途届出が必要です。両者を混同すると、必要な届出を忘れる、あるいは不要な届出をしてしまうことになります。
  • 実地教育の代替時間数を「常に2分の1」と思い込む:業務別教育を実地教育に代える場合の上限は、業務別教育の時間数を2で除した時間数、または5時間のいずれか少ない時間数です(施行規則38条3項)。例えば業務別教育が8時間なら8÷2=4時間が上限で、5時間より4時間の方が少ないため4時間までとなります。時間数が大きい区分では5時間が上限になる場合もある点に注意が必要です。

こうした記載・保存の扱いに不安がある場合は、詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

なお、名簿の記載事項と教育実施簿の時間数を紙やエクセルで別々に管理していると、退職・異動のたびに転記のズレが起きやすくなります。教育記録をクラウドで一元管理できるサービスに切り替える選択肢もあり、ケイビログではクレジットカード不要の14日間無料トライアルで、警備員ごとの記録と不足アラートをそのまま試すことができます(無料トライアルに申し込む)。

まとめ

  • 警備員が退職しても名簿から削除せず、退職年月日を記載したうえで退職の日から1年間保存する(施行規則66条2項)
  • 住所変更・氏名変更などの記載事項の変更も、上書きで消すのではなく変更履歴が分かる形で残すのが実務上の基本
  • 名簿の記載変更は公安委員会への届出の対象外だが、会社の認定事項(名称・役員・営業所所在地など)の変更は警備業法11条の届出が必要で、両者は別の手続きとして扱う
  • 退職までの教育記録は名簿・教育実施簿で確定させ、実地教育の代替上限(時間数÷2または5時間の少ない方)も踏まえて数字を合わせておく
  • 欄の抜け漏れを確認したい場合は警備員名簿テンプレートが使える

よくある質問

Q. 警備員が退職したら、名簿からすぐに削除してよいですか?

いいえ。削除してはいけません。退職年月日を記載したうえで、退職の日から1年間は名簿を保存する必要があります(警備業法施行規則66条2項)。

Q. 名簿の保存期間1年は、いつから数えますか?

警備員が退職した日からです。入社してからの在籍期間の長さとは関係なく、退職の日を起点に1年間となります。

Q. 住所や氏名が変わったときは、古い記載を消してよいですか?

法令上、書き換えの具体的な方法までは定められていませんが、いつ・何が変わったかが後から分かるよう、旧記載を判読できる形に残したまま新しい記載を追記する運用が実務ではよく取られます。名簿と教育実施簿・指導計画書との整合性が立入検査で確認されるため、変更履歴を追える状態にしておくと説明がしやすくなります。

Q. 名簿の記載を変更したら、公安委員会への届出が必要ですか?

警備員個人の住所変更や退職といった名簿上の記載変更は、公安委員会への変更届出の対象ではありません。届出が必要なのは、会社の名称・役員・営業所の所在地など、認定を受けた事項(警備業法5条1項各号)が変わった場合です(同法11条)。

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