結論:エクセルで作ってよいが、法定の記載事項をすべて満たす列設計にする
結論から言うと、警備員名簿は自社のエクセルで作成・管理してかまいません。様式そのものは法令で指定されていませんが、警備業法45条と警備業法施行規則66条1項1号が定める記載事項が漏れていると、立入検査で不備として指摘されます。よくある失敗は、氏名・住所・生年月日といった「見た目に分かりやすい欄」だけを並べ、従事させる業務の内容や資格者証の交付番号といった欄を作り忘れることです。
この記事では、施行規則が求める記載事項を1つずつ確認しながら、エクセルの列としてどう設計すればよいかを具体的に示します。すでに列の形まで用意した無料テンプレートも配布しているので、自作の手間を省きたい方はそちらもあわせてご利用ください。
施行規則66条1項1号が定める記載事項
警備業法施行規則66条1項1号は、警備員ごとに次の事項を名簿に記載するよう定めています。エクセルの列名として置き換えると、次のようになります。
| 施行規則の区分 | 記載事項 | エクセルの列名の例 |
|---|---|---|
| イ | 氏名、本籍、住所、生年月日、採用年月日(退職した場合は退職年月日) | 氏名/本籍/住所/生年月日/採用日/退職日 |
| ロ | 受けた警備員教育の実施年月日・内容・時間数・実施者の氏名 | 教育実施日/教育内容/教育時間数/実施者 |
| ハ | 従事させる警備業務の内容 | 従事業務区分(1号・2号・3号・4号・機械警備) |
| ニ | 合格証明書(検定)を持つ場合の警備業務の種別、交付した公安委員会名、交付年月日、番号 | 検定種別・級/交付公安委員会/交付年月日/証明書番号 |
| ホ | 指導教育責任者資格者証を持つ場合の交付公安委員会名、交付年月日、番号、警備業務の区分 | 指導教育責任者資格の有無/交付情報 |
| ヘ | 機械警備業務管理者資格者証を持つ場合の交付公安委員会名、交付年月日、番号 | 機械警備業務管理者資格の有無/交付情報 |
ニ〜ヘは「当該資格者証の交付を受けている警備員にあつては」という条件付きの事項なので、無資格者の行は空欄で構いません。一方でハの「従事させる警備業務の内容」は全員必須です。氏名・住所・資格だけをまとめた自己流の名簿では、このハの欄がまるごと抜けているケースをよく見かけます。
自社の在籍者について、どの欄が埋まっていて、どの欄が欠けているかを一度洗い出したい方は、警備員名簿テンプレートで列の抜け漏れを確認してみてください。
エクセルで名簿を作る5つの手順
- 列を作る:上表の列をすべて用意します。氏名・住所などの基本情報だけで終わらせず、教育記録・資格情報・従事業務の欄まで含めます。
- 在籍者を1行1名で入力する:退職者は行を消さず、退職年月日を記入したうえで残します(保存期間は後述)。
- 資格欄と教育記録欄をリンクさせる:検定・指導教育責任者資格を持つ警備員は、その資格に応じて教育の一部が軽減・免除されます。資格欄を先に埋めておくと、必要な教育時間数の判定がぶれません。
- 写真を管理する:名簿には3年以内に撮影した写真(無帽・正面・上三分身)の貼付が必要です。エクセルにセル内挿入する運用でも、写真ファイルを別フォルダで警備員IDと紐づけて管理する運用でも構いませんが、撮影日を必ず記録し、3年を超えないよう更新します。写真規格の詳細は警備員名簿の写真規格の記事にまとめています。
- 更新のたびに保存日を記録する:入社・異動・資格取得のたびに更新し、いつ誰が更新したかが分かるようにしておきます。
教育記録欄の数字をどう埋めるか(時間数の考え方)
名簿の「ロ」の欄には、教育の時間数を実際の数字で記入します。時間数の考え方を誤ると、名簿の数字と教育実施簿の数字が食い違い、検査で指摘の原因になります。
警視庁の案内および警備業法施行規則38条によれば、2026年時点の規定では、新任教育は基本教育と業務別教育を合わせて20時間以上、現任教育(すでに従事している警備員に毎年度行う教育)は10時間以上が原則です。業務別教育は、そのうち一定割合まで実地教育(現場での実務を通じた教育)に代えることができます。
例えば、ある区分の業務別教育の時間数が6時間と定められている場合、実地教育で代替できるのは6 ÷ 2 = 3時間までが上限の目安です(残りは座学・実技講習など実地以外の方法で行う必要があります)。また、現任教育10時間を在籍する警備員5名に実施すると、10 × 5 = 延べ50時間分の実施記録を名簿・教育実施簿の双方に残す必要がある計算になります。検定合格者や指導教育責任者資格者は、資格の種別・級に応じて業務別教育の一部または全部が軽減・免除される場合があるため、名簿の資格欄が正しく埋まっているかが時間数の判定の出発点になります。
エクセルで自社の在籍者ごとに必要時間数まで自動で確認したい場合は、教育時間チェッカーに資格・経験の条件を入力すると、その場で必要時間数と実地教育の上限の目安が分かります。
保存期間・電子化に関する注意点
- 退職後1年間は保存する:名簿は警備員が退職した日の翌日以降も、退職後1年間は保存が必要です。退職と同時に行を削除すると、この保存義務に反します。
- 写真は3年ごとに更新する:名簿の写真は常に「3年以内に撮影したもの」である必要があります。撮影日を列で管理し、期限が近い警備員を抽出できるようにしておくと更新漏れを防げます。
- 電磁的記録(エクセル・クラウド)での管理は認められている:警備業法施行規則67条により、名簿は電磁的記録での作成・保存が可能です。ただし、必要なときに直ちに紙に出力して確認できる状態にしておくことが条件です(詳しくは電磁的記録による備付けの記事を参照してください)。
- 列を追加しすぎない:管理のしやすさを優先して評価欄や連絡先などの自社独自の列を足すこと自体は問題ありませんが、施行規則が求める法定の列を削ってしまわないよう注意してください。
エクセルでの手作業運用がつらくなってきた場合は、教育記録をクラウドで一元管理できるサービスに切り替える選択肢もあります。ケイビログでは、クレジットカード不要の14日間無料トライアルで、警備員ごとの記録と不足アラートをそのまま試すことができます(無料トライアルに申し込む)。
制度の解釈や自社の運用が規則に沿っているかの最終判断は、詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認いただくのが確実です。
まとめ
- 警備員名簿はエクセルで自作してよいが、施行規則66条1項1号が定める記載事項(イ〜ヘ)をすべて列として用意する
- 特に「従事させる警備業務の内容」は全員必須の欄で、抜けやすいポイント
- 教育記録欄の時間数は、新任20時間以上・現任10時間以上を基準に、実地教育の代替上限や資格による軽減を踏まえて記入する
- 名簿は退職後1年間保存し、写真は3年以内に撮影したものへ随時更新する
- 列の抜け漏れを確認したい場合は警備員名簿テンプレート、時間数を確認したい場合は教育時間チェッカーが使える
よくある質問
Q. 警備員名簿はエクセルで自作しても違反にならないですか?
違反にはなりません。様式そのものは法令で指定されておらず、警備業法施行規則66条1項1号が求める記載事項を満たしていれば、エクセルを含めて自社の方法で作成できます。電磁的記録での保存は同規則67条で認められています。
Q. エクセルの名簿にはどの列を必ず入れる必要がありますか?
氏名・本籍・住所・生年月日・採用年月日(退職者は退職年月日)に加え、受けた教育の実施年月日・内容・時間数・実施者、従事させる警備業務の内容が必須です。検定合格証明書や指導教育責任者資格者証、機械警備業務管理者資格者証を持つ警備員については、それぞれの交付情報も記載します。
Q. 名簿の教育記録欄に書く時間数はどう決まりますか?
2026年時点の規定では、原則として新任教育は基本教育・業務別教育を合わせて20時間以上、現任教育は年度ごとに10時間以上です。検定合格や指導教育責任者資格の有無・実務経験によって軽減・免除される場合があるため、個別の時間数は資格・経験の条件に当てはめて確認する必要があります。教育時間チェッカーで条件を入力すると目安が分かります。
Q. 退職した警備員の行はすぐに削除してよいですか?
いいえ。退職後1年間は名簿を保存する必要があるため、退職と同時に行を削除するのは避け、退職年月日を記入したうえで一定期間残しておきます。
Q. 写真もエクセルの名簿に貼り付ける必要がありますか?
名簿には3年以内に撮影した無帽・正面・上三分身の写真の貼付が必要です。エクセルのセルに直接挿入する方法でも、別管理のファイルを警備員IDで紐づける方法でも構いませんが、撮影日を記録し、3年を超えないよう更新する運用にしておく必要があります。詳しい規格は警備員名簿の写真規格の記事で解説しています。