営業所や役員が変わったら10日以内に届出が必要です
「支店を新しく出した」「代表者や役員が交代した」「指導教育責任者(警備員に対する教育を管理する立場の資格者)が退職して後任に代えた」——警備業者は許可制ではなく認定制ですが、認定時に届け出た内容に変更があると、その都度あらためて公安委員会に知らせる義務があります。うっかり後回しにしていると期限を過ぎてしまい、行政指導や罰則の対象になりかねません。
結論から言うと、認定申請書に記載した事項に変更があったときは、変更の日から10日以内(登記事項証明書の添付が必要な変更は20日以内)に、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に変更届出書を提出しなければなりません(警備業法11条1項、同法施行規則17条2項)。届出先は公安委員会ですが、実務上は主たる営業所を管轄する警察署(生活安全課の保安係など)の窓口経由で提出する運用が一般的です。この記事では、届出が必要な事項・期限・添付書類・忘れたときのリスクを整理します。
届出が必要な4つの事項——根拠条文で確認する
届出義務の対象は、認定申請書の記載事項を定めた警備業法5条1項各号に変更があった場合です。11条1項は「警備業者は、第五条第一項各号に掲げる事項に変更があつたときは…届出書を提出しなければならない」と定めており、対象は次の4区分に整理できます。
| 号 | 変更事項 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1号 | 氏名・名称・住所、法人の代表者 | 商号変更、代表者の交代、本店移転 |
| 2号 | 営業所の名称・所在地・取扱区分 | 支店の新設・移転・廃止、取扱う警備業務区分の追加 |
| 3号 | 営業所ごとの指導教育責任者の氏名・住所 | 指導教育責任者の異動・退職・改姓 |
| 4号 | 法人の役員の氏名・住所 | 役員の就任・退任・改姓・転居 |
この4区分のうち、1号・2号(主たる営業所に係る部分)・4号の変更で届出をした場合は、公安委員会がその内容を「営業所を設け、又は警備業務を行っている都道府県の区域を管轄する他の公安委員会」へ通知する仕組みになっています(警備業法11条2項)。複数県に営業所や現場を持つ警備業者では、1件の変更届で関係する公安委員会に情報が回る点を知っておくと、個別に問い合わせが来ても慌てずに済みます。
自社の場合どの区分の変更に当たるのか、また現時点で備付け書類に不整合がないか不安な方は、備付け書類の自主点検ツールで該当する届出・書類の状況をチェックしてみてください。
提出期限と添付書類——「10日」と「20日」の違い
施行規則17条2項は提出期限を「当該変更の日から十日(当該届出書に登記事項証明書を添付すべき場合にあつては、二十日)以内」と定めています。つまり基準は10日以内で、法人の商号変更・本店移転・代表者変更・役員変更のように登記事項証明書の添付が必要になる変更だけ20日以内に緩和される、という関係です。指導教育責任者の変更のように登記と関係しない事項は、原則どおり10日以内が期限になります。
添付書類は、施行規則19条により「認定申請時の添付書類(施行規則4条1項各号)のうち、当該変更事項に係るもの」とされています。たとえば役員変更なら新役員の住民票の写しや欠格事由に該当しない旨の誓約書、指導教育責任者の変更なら資格者証の写しといった具合に、変更内容ごとに必要書類が変わります。届出書の様式は施行規則17条1項で「別記様式第六号」と定められていますが、添付書類の具体的な組み合わせは変更事項ごとに細かく分かれるため、提出前に主たる営業所を管轄する警察署の担当窓口(または都道府県警察のウェブサイトの申請様式ページ)で最新の一覧を確認するのが確実です。東京都の場合は警視庁の警備業申請様式ページに添付書類一覧表が公開されています。
ここで少し目線を変えると、届出と並行して見落とされがちなのが教育記録側の整合性です。たとえば指導教育責任者が交代した場合、前任者名義で計画されていた教育計画書や実施簿の実施者欄も更新が必要になります。現任教育は毎年度(4月1日〜翌3月31日)基本教育と業務別教育を合計10時間以上実施する必要があり(施行規則38条5項)、このうち業務別教育は実地教育(現場でのOJT)で最大2分の1まで代替できます(同条3項備考)。仮に業務別教育を6時間と計画していれば、実地教育に振り替えられるのは 6 ÷ 2 = 3時間までで、残り3時間は集合教育などで別途実施しなければなりません。指導教育責任者を変更した機会に、この時間配分が最新の計画どおり回っているかも合わせて見直しておくと、立入検査での指摘を防ぎやすくなります。
自社で確認・対応する手順
- 変更が生じた日を記録する——届出期限(10日または20日)はこの日から起算されるため、辞令や登記の効力発生日を正確に控えます。
- 変更内容が5条1項1〜4号のどれに当たるか特定する——複数の号にまたがる変更(例:役員交代に伴う本店移転)は、まとめて1通の届出書で対応できるか窓口に確認します。
- 管轄警察署の窓口で必要な様式・添付書類を確認する——変更事項によって添付書類が異なるため、事前に一覧を取り寄せるか、警視庁の様式ページのような都道府県警察の公開情報を参照します。
- 登記事項証明書が必要な変更かどうかを確認し、期限(10日/20日)を確定する。
- 届出書一式を主たる営業所を管轄する公安委員会(窓口は所轄警察署)に提出する。
- 提出した届出書の写しを営業所に備え付ける——施行規則66条1項3号により、11条の届出書の写しは備付け書類の1つです。
- 教育計画書・教育実施簿など、変更に伴って実施者名や体制の記載を更新すべき書類がないか点検する。
自社の備付け書類がこの一連の流れに対応できているか通しで確認したい場合は、備付け書類チェックツールを使うと、8点の書類を1つずつ自己点検できます。教育記録そのものをクラウドで管理して、指導教育責任者の交代のたびに紙の実施簿を探し回らずに済むようにしたい場合は、14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)でケイビログの記録機能を試すこともできます。
注意点・誤解しやすいポイント
- 「小さな変更だから届出は不要」という判断は禁物です。氏名の改姓や営業所内の担当替えのような一見軽微な変更でも、5条1項各号に該当すれば届出義務が生じます。
- 提出期限を過ぎても届出自体は受理されますが、義務違反は消えません。届出をしなかった場合や虚偽の記載をして提出した場合は、警備業法58条3号により30万円以下の罰金の対象となり得ます。罰金刑を受けると欠格事由に該当し、一定期間は警備業の認定を受けられなくなる点も見落とされがちです。
- 「認定証」自体の書換えと「変更届出」は別の手続きです。認定証の記載事項が変わる場合は変更届出とあわせて認定証の書換申請が必要になることがあるため、窓口で両方の要否を確認してください。
- 添付書類は「認定時と同じセット」ではありません。施行規則19条は「変更事項に係る書類」に限定しており、変更していない事項の書類まで出し直す必要はないのが原則です。ただし窓口の運用には幅があるため、事前確認が確実です。
詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。届出の要否や添付書類の判断を誤ると、再提出や指摘対応でかえって時間がかかることがあります。
まとめ
- 認定申請書の記載事項(氏名・名称・住所、営業所の名称・所在地・区分、指導教育責任者、役員)に変更があったら、原則10日以内・登記事項証明書を添付する変更は20日以内に変更届出書を提出する(警備業法11条1項、施行規則17条2項)。
- 添付書類は変更事項ごとに異なるため、事前に管轄警察署や都道府県警察の公開様式で最新の一覧を確認する。
- 提出後は届出書の写しを営業所に備え付け、立入検査に備える(施行規則66条1項3号)。
- 届出を怠ったり虚偽記載をすると30万円以下の罰金の対象になり得る(警備業法58条3号)。
- 指導教育責任者の交代など教育体制に関わる変更では、教育計画書・教育実施簿の実施者欄や時間配分もあわせて見直す。
よくある質問
Q. 変更届出書はどこに提出すればよいですか。
条文上の届出先は「主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会」です(警備業法11条1項)。実務上は、主たる営業所を管轄する警察署の生活安全課(保安係)などの窓口を経由して提出する運用が一般的です。詳細な受付窓口は管轄警察署にご確認ください。
Q. 届出の期限「10日」はいつから数えますか。
変更が生じた日(役員の就任・退任の効力発生日、登記の申請日ではなく変更事実が生じた日など)から起算します。登記事項証明書の添付が必要な変更は20日以内に緩和されます(施行規則17条2項)。起算日の判断に迷う場合は管轄警察署に確認するのが確実です。
Q. 期限を過ぎて届出をしても受理してもらえますか。
窓口では受理されるのが通常ですが、期限徒過という義務違反自体は解消されません。届出をしなかった場合や虚偽の記載をした場合は警備業法58条3号により30万円以下の罰金の対象となり得るため、気づいた時点で速やかに届け出ることが重要です。
Q. 指導教育責任者が退職して後任がまだ決まっていない場合はどうすればよいですか。
指導教育責任者は営業所ごと・取扱区分ごとに選任が義務付けられているため、空白期間が生じないよう早めの選任・資格取得手続きを進める必要があります。選任状況や暫定的な対応の可否については、管轄の都道府県公安委員会にご確認ください。
Q. 変更届出書の添付書類はどこで確認できますか。
都道府県警察のウェブサイトに申請様式や添付書類一覧が公開されている場合があります。たとえば東京都では警視庁の警備業申請様式ページで確認できます。他の道府県でも同様のページが公開されていることが多いため、管轄の警察本部のサイトを確認するか、窓口に直接問い合わせるとよいでしょう。