服装届とは?結論と全体像
警備員に新しい制服を導入するとき、あるいは既存の制服の色やデザインを変えるとき、「そもそも届出が要るのか、要るなら誰に何を出すのか」で手が止まる管理者・指導教育責任者の方は少なくありません。
結論から言うと、警備業者は警備業務に用いる服装について、業務を行おうとする都道府県ごとに、その公安委員会(実務上は所轄の警察署長を経由)へ**服装届出書(別記様式第9号)**を提出する義務があります。根拠は警備業法16条と警備業法施行規則28〜30条です。届出をしない、または虚偽の記載をして提出すると、30万円以下の罰金の対象にもなり得ます。この記事では、根拠条文・記載事項・提出タイミング・実務での注意点を整理します。
なぜ服装の届出が必要なのか(根拠条文)
警備業法16条1項は、警備業者・警備員が警備業務を行うときは、警察官等の制服と「色、型式又は標章により、明確に識別することができる服装」を用いなければならないと定めています。警備員は民間人であり、公務員である警察官と紛らわしい服装で業務に就くことを防ぐ趣旨です。
その識別性を行政側が事前に確認できるようにする仕組みが、同条2項の届出義務です。警備業者は、警備業務を行おうとする都道府県の公安委員会に、使用する服装の色・型式その他内閣府令で定める事項を記載した届出書を、添付書類とともに提出しなければなりません(警備業法16条2項)。服装を変更する場合も、同条3項が11条1項を準用する形で、あらためて届出が必要です。
具体的な様式・記載事項・添付書類は警備業法施行規則28〜30条で定められています。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 様式 | 別記様式第9号(服装用)/第10号(護身用具用) | 施行規則28条1項 |
| 提出先 | 業務を行う都道府県の公安委員会(所轄警察署長を経由) | 施行規則28条2項 |
| 提出期限 | 当該服装を用いる警備業務を開始する日の前日まで | 施行規則28条2項 |
| 変更時の期限 | 変更後の服装の使用を開始する日の前日まで | 施行規則32条2項 |
| 記載事項 | 標章の位置・型式、その服装で行う警備業務の内容 | 施行規則29条 |
| 添付書類 | 服装の種類ごとに、着用した警備員の正面・側面全身写真(無背景・縦12cm×横8cm)各1枚 | 施行規則30条 |
| 違反時の罰則 | 30万円以下の罰金(未届出・虚偽記載) | 警備業法58条3号 |
自社が今どの書類をどこまで整えているか判断がつかない場合は、備付け書類8点の自主点検チェックリストで服装届を含む必須書類をまとめて確認できます。
ワークド例:夏服・冬服がある場合の写真枚数と提出通数
施行規則30条は「服装の種類ごとに」正面・側面の全身写真各1枚を求めています。たとえば夏服・冬服の2種類の制服を届け出る場合、必要な写真は次のとおりです。
1種類あたりの必要枚数は、正面1枚+側面1枚で 1 × 2 = 2枚 です。これを夏服・冬服の2種類分そろえると、2 × 2 = 4枚 の写真が必要になります。
また、東京と神奈川の2都県で警備業務を行う会社が同じ制服を使う場合でも、届出は都道府県ごとの公安委員会に対して行うため、1様式を都道府県の数だけ提出することになります。計算すると 1 × 2 = 2通(提出先はそれぞれの所轄警察署長経由)です。営業エリアを増やすときに「本社所在地に出したから終わり」と思い込みやすい点なので、業務を行う都道府県の数だけ届出が要ることは覚えておく必要があります。
自社で確認・対応する手順
- 現在使用している服装(制服・作業服・私服警備の私服)を種類ごとに洗い出す。夏服・冬服・雨天用など季節や用途で分かれている場合はそれぞれ別の「種類」として扱います。
- 標章の位置・型式と、その服装で行う業務内容を確定する(施行規則29条の記載事項)。私服で警備業務を行う場合も、標章を付けるものであれば届出対象です。
- 正面・側面の全身写真を服装の種類ごとに撮影する(無背景・縦12cm×横8cm、色彩が識別できるもの)。
- 業務を行う都道府県ごとに、別記様式第9号の届出書を作成する。様式は所轄の警察本部・警察署の様式集で配布されています(例:警視庁の様式ダウンロードページ)。
- 業務開始日の前日までに、所轄警察署長を経由して公安委員会へ提出する。新規導入・仕様変更のどちらでも同じ「前日まで」という期限です。
- 届出書の控えを営業所に保管し、いつどの服装を届け出たか一覧化しておく。次に制服を刷新するときの起点になります。
服装届自体はクラウド上で完結する手続ではありませんが、「いつ・どの服装を・どの都道府県に届け出たか」という管理台帳と、警備員教育の記録は同じ実務担当者が抱えがちです。教育記録の抜け漏れ管理も含めて一元化したい場合は、keibilogの14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で、警備員ごとの教育時間管理と合わせて運用を試すこともできます。
注意点・誤解しやすいポイント
- 「制服だから届出不要」は誤り。届出義務は服装の種類を問わず、識別のための標章を付ける服装であれば私服警備の私服も対象です(施行規則30条括弧書き)。
- 色や型式を少し変えただけでも変更届が必要。ロゴの位置や色味の変更でも「届け出た内容と現物が異なる」状態は避ける必要があり、変更後の使用開始前日までに届け出ます(施行規則32条2項)。
- 提出期限は「使用開始の前日まで」であって、事後報告ではない。新しい制服を先に着用させてから届け出る運用は期限違反になります。
- 都道府県ごとに別の届出が必要。本社を管轄する公安委員会に出せば全国で有効、という制度ではありません。
- 届出をしない、または虚偽記載をした場合は罰則の対象。30万円以下の罰金(警備業法58条3号)に加え、行政指導・指示の対象になる可能性もあります。
服装の具体的な色彩・型式が「警察官等と明確に識別できる」水準を満たすかどうかの判断や、個別の様式の細かい記載方法については、詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。
まとめ
- 服装届は警備業法16条・施行規則28〜30条に基づき、様式第9号を使って都道府県の公安委員会へ提出する。
- 提出期限は新規・変更いずれも使用開始日の前日まで(施行規則28条2項・32条2項)。
- 添付書類は服装の種類ごとに正面・側面全身写真各1枚(縦12cm×横8cm・無背景)。
- 未届出・虚偽記載は30万円以下の罰金の対象になり得る。
- 自社の状況を確認したい方は、まず備付け書類8点の自主点検チェックリストで服装届を含む必須書類の有無を洗い出すところから始めるとよいでしょう。
よくある質問
Q. 私服で行う警備業務にも服装届は必要ですか?
標章を付けて識別性を確保する私服であれば届出の対象です。施行規則30条は「服装(制服でない服装にあつては、標章を付けるものに限る。)」と明記しており、私服だからといって一律に対象外にはなりません。判断に迷う場合は所轄の公安委員会に確認してください。
Q. 服装届出書はどこで手に入りますか?
別記様式第9号は各都道府県警察の様式集で配布されています。たとえば警視庁は様式ダウンロードページでWord形式を公開しています。管轄の警察本部・警察署の窓口でも入手できます。
Q. 服装を少し変えただけでも届出は必要ですか?
はい。色・型式・標章の内容が届け出た内容と変わる場合は、警備業法16条3項に基づく変更の届出が必要です。提出期限は変更後の服装の使用を開始する日の前日までです(施行規則32条2項)。
Q. 複数の都道府県で営業していますが、届出は本社の分だけで足りますか?
足りません。警備業務を行おうとする都道府県ごとに、その公安委員会(所轄警察署長経由)へ届け出る必要があります。営業エリアを拡大するときは、拡大先の届出漏れがないか確認してください。
Q. 届出をしないまま新しい制服を着用させてしまった場合はどうなりますか?
未届出のまま服装を用いた状態は警備業法16条2項違反にあたり、届出をしない、または虚偽の記載をして提出した者は警備業法58条3号により30万円以下の罰金の対象になり得ます。気づいた時点で速やかに所轄の公安委員会に相談し、届出を行ってください。