教育実施簿の記入例が知りたい方へ:結論から言うと「7項目+確認欄」を埋めれば形式は自由です
「教育実施簿を作れと言われたが、何をどこまで書けばいいのか見本が欲しい」——指導教育責任者や採用担当者になったばかりの方から、こうした相談をよく受けます。様式そのものは警備業法令で指定されていないため、市販の帳簿でも自作のExcelでも構いません。ただし「何を書けば合格か」を知らないまま作ると、立入検査で指摘を受けることがあります。
結論から言うと、警備業法施行規則第66条第1項第6号が定める7つの記載事項と、指導教育責任者・実施者による確認欄さえ満たしていれば、様式は自由です。この記事では、新任教育・現任教育それぞれの記入例と、業務区分・資格によって変わる時間数の書き方を、具体的な数字とともに示します。
教育実施簿に書く7項目と記入例(新任・現任)
施行規則66条1項6号は、教育実施簿に年度ごとに次の7項目を記載し、指導教育責任者および実施者が「誤りがないことを確認する旨」を付記するよう求めています。実際にどう埋めるか、記入例で示すと次のようになります。
| 記載事項 | 新任教育の記入例 | 現任教育の記入例 |
|---|---|---|
| 実施年月日 | 2026年4月8日 | 2026年9月12日 |
| 教育の内容 | 護身用具の取扱い、緊急事態対応要領(1号警備・業務別教育) | 事故発生時の措置、盗難防止要領(1号警備・業務別教育) |
| 教育の方法 | 講義+実技訓練 | 実地教育(現場随行) |
| 時間数 | 4時間 | 1時間 |
| 実施場所 | 〇〇営業所 研修室 | △△ビル警備室(現場) |
| 実施者の氏名 | 指導教育責任者 山田太郎 | 現場責任者 佐藤次郎 |
| 対象警備員の氏名 | 鈴木一郎、田中健二 ほか2名 | 鈴木一郎 |
| 確認欄 | 指導教育責任者印・実施者印(記入済み) | 指導教育責任者印・実施者印(記入済み) |
ポイントは「対象警備員の氏名」を毎回漏れなく記載することと、確認欄を空欄のまま放置しないことです。確認欄が抜けている実施簿は、記載事項自体が揃っていても要件を満たしません。
自社の警備員それぞれについて、この形式で埋めるべき教育の区分・時間数がすぐに分からないという方は、教育時間チェッカーで経験や資格の有無を入力すると、必要な教育の種類・時間数を自動判定できます。記入例の「教育の内容」「時間数」欄を埋める前の確認に使えます。
業務区分・資格で時間数が変わる:記入前に確認すべき比較表
教育実施簿の時間数欄は、警備員ごとの経験・資格によって基準が変わるため、記入前にどの区分に当たるかを確認しておく必要があります。施行規則38条4項(新任教育)・5項(現任教育)の表を整理すると、次のとおりです。
| 区分 | 教育の種類 | 時間数 | 実地教育による代替の上限 |
|---|---|---|---|
| 新任・原則(未経験) | 基本教育+業務別教育 | 20時間以上 | 業務別教育時間の2分の1または5時間の少ない方 |
| 新任・同一区分で1年以上の実務経験あり | 基本教育+業務別教育 | 7時間 | 業務別教育時間の2分の1または2時間の少ない方 |
| 新任・他区分の実務経験または警察官経験1年以上 | 基本教育+業務別教育 | 13時間 | 業務別教育時間の2分の1または5時間の少ない方 |
| 新任・検定等を他区分で保有 | 業務別教育のみ | 10時間 | 5時間まで |
| 新任・検定等を他区分で保有+同一区分の実務経験あり | 業務別教育のみ | 3時間 | 2時間まで |
| 現任・原則(毎年度) | 基本教育+業務別教育 | 10時間以上 | — |
| 現任・検定2級該当または資格を他区分で保有 | 業務別教育のみ | 6時間 | — |
現任教育の「毎年度」とは4月1日から翌年3月31日までの1年度を指します。1級検定合格者や指導教育責任者資格者証を同一区分で保有している場合は、新任・現任とも教育そのものが免除される区分もあるため、記入例の前にまず自社の警備員がどの行に当たるかを特定しておくと、実施簿の時間数欄で迷いません。
実地教育で代替した場合の記入例と時間数の計算
現場に付き添わせる形の教育(実地教育)は、業務別教育の時間の一部を代替できますが、上限を超えて記帳すると記録上は基準未達のままになります。たとえば新任・同一区分1年以上経験の区分(業務別教育を含め7時間)で、教育計画上の業務別教育時間数が4時間だったとします。この場合の実地教育の上限は「4 ÷ 2 = 2時間」と「2時間」を比べていずれか少ない方、つまり2時間までです。実施簿の教育の方法欄には「実地教育(現場随行)」、時間数欄には代替した実時間(例:2時間)を記載し、講義など他の方法で行った時間と合算して基準時間に達しているかを確認します。
在籍する警備員が多い営業所では、記録する量そのものも増えます。たとえば現任教育(1名あたり毎年度10時間以上)を5名の警備員に実施する場合、「10時間 × 5名 = 延べ50時間分」の実施記録を年度内に積み上げる必要があり、実施簿の記入漏れがあると誰か1名だけ基準未達のまま年度を終えてしまうことがあります。
教育計画書テンプレートを使うと、38条の教育事項が業務区分ごとに一覧で出力されるため、実施簿に書く「教育の内容」欄をどの項目名で埋めればよいかの下敷きにできます。計画と実績(実施簿)の内容がずれないよう、同じ項目名を使って記帳するのがコツです。
自社の実施簿を確認・作成する手順
まず、警備員ごとに新任教育と現任教育のどちらが必要な状態か、区分ごとの資格・経験の有無を洗い出します。次に、その区分に応じた教育の種類(基本教育・業務別教育)と法定時間数を確認し、年度内の教育計画(いつ・何を・何時間行うか)を先に組んでおきます。教育を実施したら、その都度、実施年月日・内容・方法・時間数・場所・実施者・対象警備員を実施簿に記帳し、指導教育責任者と実施者が確認欄に記名・押印します。あわせて、警備員名簿の教育欄(実施年月日・内容・時間数・実施者氏名)にも同じ内容を転記し、実施簿と名簿の記載が食い違わないようにします。年度が終わったら、警備員ごとの年間合計時間が基準を満たしているかを確認し、不足があれば早めに追加の教育日程を組みます。
記入時に誤解しやすいポイント
保存期間を「教育を実施した日から2年」と勘違いするケースがありますが、正しくは施行規則66条2項により当該年度が終了した日から2年間の備付けが必要です。また、検定合格者は一律で教育が免除されると誤解されがちですが、実際には検定の級(1級・2級)と従事させる業務区分が同一かどうかで扱いが変わり、2級検定合格者は現任教育の業務別教育(6時間)は必要なままです。このあたりの区分は個々の資格の組み合わせによって細かく分かれるため、詳しくは管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。
さらに、実施簿は紙の帳簿である必要はありません。施行規則67条により、記載事項が電磁的方法で記録され、必要に応じてすぐに画面表示・印刷できる状態であれば、書面の代わりとして認められます。クラウドで教育記録を管理し、警備員ごとの年間累計時間や不足を自動でチェックできるようにしておけば、記入漏れや確認欄の付け忘れにも早く気づけます。14日間の無料トライアル(クレジットカード不要)で、警備員ごとの記録・不足アラートを試せますので、記帳の手間を減らしたい方は無料トライアルから試してみてください。
まとめ
- 教育実施簿の様式は自由だが、施行規則66条1項6号の7項目+確認欄は必須
- 新任教育は原則20時間以上、現任教育は毎年度10時間以上が基準(区分・資格により軽減あり)
- 実地教育での代替は「業務別教育時間の2分の1」と上限時間数のいずれか少ない方まで
- 保存期間は当該年度終了日から2年間、電磁的記録(クラウド管理)でも代替可能
- 記入前に教育時間チェッカーで区分を確認し、教育計画書テンプレートの項目名に沿って実施簿を記帳すると整合が取りやすい
よくある質問
Q. 教育実施簿の様式は決まっていますか?
決まった様式はありません。施行規則66条1項6号が定める7項目(実施年月日・内容・方法・時間数・場所・実施者氏名・対象警備員氏名)と、指導教育責任者・実施者の確認欄を満たしていれば、Excelや市販の帳簿でも構いません。
Q. 実地教育で代替した時間は、どう記入すればよいですか?
教育の方法欄に「実地教育(現場随行など具体的な内容)」と記載し、時間数欄には実際に代替した時間を書きます。代替できる上限は業務別教育時間の2分の1または規定の時間数(5時間や2時間など、区分により異なる)のいずれか少ない方です。
Q. 教育実施簿は何年保管する必要がありますか?
施行規則66条2項により、当該年度が終了した日から2年間です。教育計画書も同じく2年間の備付けが必要です。
Q. 検定合格者の記入例では、時間数をどう書けばよいですか?
検定の級と従事させる業務区分が同一かどうかで扱いが変わります。1級検定合格者が同一区分に従事する場合は現任教育が免除、2級検定合格者は業務別教育6時間が必要など細かく分かれるため、個別の判定に迷う場合は教育時間チェッカーで確認するか、管轄の都道府県公安委員会や顧問の社会保険労務士にご相談ください。
Q. 教育実施簿と警備員名簿の両方に書く必要がありますか?
必要です。教育実施簿は実施した教育そのものの記録、警備員名簿は警備員ごとの情報の一部として教育の実施状況を記載するもので、役割が異なります。同じ教育の実施内容を両方に反映させておく必要があります。