教育時間

部外(外部)の研修を警備員の教育時間に算入できる条件

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部外実施教育とは何か — 「自社員以外が実施する教育」の総称

警備会社には、警備員に対して毎年度の法定教育を行う義務があります(警備業法第21条第1項、施行規則第38条)。通常は自社の指導教育責任者が講師を担いますが、小規模な会社では人員が限られていたり、業務別教育の専門的な内容を外部の力で補いたい場面が出てきます。

こうした「警備業者またはその従業員以外の者が実施する教育」を、警備業法の解釈では部外実施教育と呼びます。警察庁の解釈運用基準に基づき、一定の要件を満たせば部外実施教育の時間を法定教育時間に算入できます。しかし「外部に任せれば何でも算入できる」わけではなく、指導教育責任者による事前確認と教育計画書への記載が必須です。この記事では、算入できるケース・できないケース、必要な手続きを整理します。

結論から言うと — 3つの要件をすべて満たせば算入可

部外実施教育を法定教育時間に算入するには、次の3点をすべて満たす必要があります(警察庁の解釈運用基準に基づく)。

  1. 教育内容の適合性:実施する教育が、警備業法施行規則に定める教育事項(基本教育・業務別教育の各項目)に適合していること
  2. 指導教育責任者による事前確認:対象警備員が所属する営業所の指導教育責任者が、「教育事項に適合しているか」「対象警備員の知識・能力水準に照らして適切かつ効果的か」を受講前に確認していること
  3. 教育計画書への事前記載:教育期ごとに作成する教育計画書に、教育内容ごとに実施者の氏名・実施先の名称・連絡先を明記し、自社の責任において警備員教育として位置づけていること

警視庁の案内でも示されているとおり、部外実施教育は「警備業者の責任の下に行う教育」です。指導教育責任者が事前に内容を精査し、計画書に明記しておくことが出発点になります。

自社の警備員に必要な教育時間の基準(新任・現任、免除・軽減区分)は、教育時間チェッカーで確認できます。部外実施教育をどの科目に充てるか設計する前に、まず不足時間数を把握しておくと計画が立てやすくなります。

実施場所・実施者で異なる算入のハードル

ケース① 自社施設内に外部講師を招く場合

自社の事務所・研修室などに外部の講師を招いて行う教育です。場所が「警備業者が使用・管理する施設」であれば、上記3要件を満たすことで算入が認められます。比較的ハードルは低く、契約している社会保険労務士や専門講師を招いた勉強会もこのパターンに当たります。

ケース② 外部団体の研修に参加する場合

都道府県警備業協会や全国警備業協会(ajssa.or.jp)が主催する研修、業界団体が提供するeラーニングなどがこれにあたります。場所が自社の管理外になるため、実施者が警備業の事業のために設立された非営利法人等、適格な組織であることが要件に加わります。

業協会が主催する研修は一般的に適格な実施者として認められていますが、一般の研修会社やコンサルタントが主催するセミナーは慎重な判断が必要です。判断が難しいケースは、管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)や顧問の社会保険労務士にご確認ください。

算入できないもの:実地教育(OJT)の部外実施は対象外

重要な注意点として、実地教育を部外者が実施した時間は算入できません

実地教育とは、警備業務の実施場所に就かせて行うマンツーマンの指導のことです(施行規則38条3項)。その性質上、自社の従業員が行うことを前提とした制度であり、外部の者が行う実地教育は法定教育時間の対象外と解釈されます。

教育の種類部外実施で算入できるか
基本教育(講義・実技)3要件を満たせば算入可
業務別教育(講義・実技)3要件を満たせば算入可
業務別教育(実地教育部分)算入不可(部外実施は対象外)

なお、eラーニングによる外部研修については、本人確認・受講状況確認・理解度確認・質疑応答の機会という4要件を別途満たす必要があります(詳しくはeラーニングの要件を参照)。

計算例:外部研修を現任教育に組み込む場合

一般の警備員は毎年度、基本教育と業務別教育を合わせて10時間以上の現任教育(すでに警備業務に就いている警備員に毎年度行う教育)が必要です(施行規則38条5項)。

たとえば2号警備(交通誘導)に従事する一般警備員10名が、業協会の研修(3時間)を受講した場合を考えます。要件を満たしていれば3時間を現任教育時間として計上でき、残り7時間(10時間 − 3時間)を自社で実施する計画を立てます。

  • 業協会研修での算入:3時間 × 10名 = 延べ30時間分の部外実施教育記録が必要
  • 残り自社実施:7時間 × 10名 = 延べ70時間分の自社実施記録が必要

業協会研修の活用で、自社での実施負担を3割減らせる計算になります。ただし計画書への事前記載と実施簿への追加記録が漏れると算入が無効になるため、運用フローの整備が重要です。クラウドで教育記録を一元管理したい場合は、14日間無料トライアル(クレジットカード不要)のケイビログも活用できます。

記録・保存の実務手順

部外実施教育を算入する場合、教育実施簿の通常の記載事項(実施年月日・内容・方法・時間数・実施場所・実施者氏名・対象警備員氏名)に加えて、次の追記が必要です(施行規則66条1項)。

  • 実施先の名称と連絡先(施設外の外部団体の場合)
  • 指導教育責任者・実施者の確認欄への署名

教育実施簿は年度終了後2年間、営業所に保存します(施行規則66条2項)。立入検査では、教育計画書と教育実施簿の内容が一致しているか、部外実施教育の実施先情報が記載されているかを確認されます。

対応手順(時系列)

  1. 事前:指導教育責任者が外部研修の内容を精査し、教育事項への適合性と対象警備員の水準への適切さを確認する
  2. 計画書に記載:教育計画書に実施内容・実施者・実施先名称・連絡先を記入する
  3. 受講後:教育実施簿に実施年月日・内容・時間数・実施先名称・連絡先を記録し、指導教育責任者・実施者が確認欄に署名する
  4. 名簿に反映:警備員名簿にも教育実施の情報(実施年月日・内容・時間数・実施者氏名・実施先名称・連絡先)を記載する
  5. 保管:教育実施簿・教育計画書を年度終了後2年間保存する

注意点・誤解しやすいポイント

「受講すれば自動的に算入される」は誤り:受講前に指導教育責任者が確認し、計画書へ記載していないと、受講後になって「算入できなかった」ことになります。必ず事前の確認と計画書記載が先決です。

「eラーニングはすべて部外実施教育」とは限らない:自社がシステムを管理するeラーニングは自社実施として扱われる場合があります。全警協eラーニングなど外部団体が提供するシステムは部外実施教育に当たります。運営主体がどこかを確認してください。

実地教育の代替上限とは別の制度:業務別教育時間の2分の1まで実地教育で代替できる仕組み(例:業務別教育6時間 ÷ 2 = 3時間まで実地で代替可)は、部外実施教育の算入とは別の制度です。混同しないように整理が必要です(実地教育代替の詳細はこちら)。

自社の教育時間の充足状況や、各警備員がどの区分に当たるかは教育時間チェッカーを使うと、部外実施分を含めた計画を立てる際の参考になります。

まとめ

  • 部外実施教育(警備業者・その従業員以外が実施する教育)は、①教育内容の適合性、②指導教育責任者の事前確認、③教育計画書への事前記載、の3要件をすべて満たすことで法定時間に算入できる
  • 自社施設内での外部講師研修は比較的ハードルが低く、業協会等の外部施設での研修は実施者の適格性も問われる
  • 実地教育(OJT)の部外実施分は算入対象外
  • 教育実施簿には実施先の名称・連絡先も記載し、年度終了後2年間保存する
  • 受講前の事前確認と計画書への記載が算入の大前提であり、事後遡及は認められない

よくある質問

Q. 警備業協会の研修は法定教育時間に算入できますか?

都道府県警備業協会や全国警備業協会(ajssa.or.jp)が主催する研修は、適格な実施者による部外実施教育として取り扱えます。ただし、指導教育責任者による事前確認と教育計画書への記載(実施先名称・連絡先を含む)が必要です。受講後に遡っての算入は認められないため、必ず受講前に手続きを完了してください。

Q. 一般の研修会社やコンサルタントのセミナーは算入できますか?

「警備業の事業のために設立された非営利法人等」に当たらない一般の研修会社や個人講師が主催するセミナーは、算入要件を満たさない可能性があります。判断が難しい場合は、管轄の都道府県公安委員会(警察本部の生活安全部局)にご確認ください。

Q. 事後に「算入したい」と申し出ることはできますか?

教育計画書への事前記載が要件のため、受講後に遡って算入することは認められません。部外実施教育を活用するときは、必ず受講前に計画書を作成・更新してください。

Q. 教育実施簿の記載で通常と異なる点はありますか?

通常の記載事項(実施年月日・内容・方法・時間数・実施場所・実施者氏名・対象警備員氏名)に加え、実施先の名称と連絡先を記載する必要があります(施行規則66条1項6号)。立入検査でこの記載が不足していると指摘を受ける可能性があります。

Q. 全警協eラーニングは部外実施教育として算入できますか?

全国警備業協会(ajssa.or.jp)が提供するeラーニングは、適格な実施者による部外実施教育として取り扱えます。ただし、eラーニングとして認められるための4要件(本人確認・受講状況確認・理解度確認・質疑応答の機会)を別途満たしていること、および指導教育責任者の事前確認と計画書への記載が必要です。全警協が公表している案内資料も参照してください。

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